【熱中症と漢方】
6月も終わりに近づき、梅雨でありながらも、かなり暑い日も増えてきました。
熱中症対策というワードを色々な場面で耳にし始める頃かと思います。
熱中症対策として、「水分をたくさん摂りましょう!」ということがよく呼びかけられています。
確かに体が渇いてしまう前に水分摂取をすることは、とても大切なことです。
ですが、単にたくさん摂っていては、胃腸の機能が低下している人にとっては、体に負担がかかってしまうこともあります。
一気にガブガブと大量に飲むのではなく、チビチビと少しずつ摂るようにしましょう。
体のためを思って水分摂取をしているのに、胃腸が疲れてしまっては元も子もないです。
また、冷蔵庫から出したばかりの冷たい飲み物や氷水よりも、常温や温かめの飲み物の方がより良いです。
暑いお日様の下で温かい飲み物を飲むのはさすがに苦しいですが、クーラーのきいた部屋でたまに白湯や温かいお茶を飲むということはとてもおすすめです。
定期的に胃腸を温め労わってあげることで、胃腸の「気」を消耗しないようにしましょう。
また、たくさん汗をかくことで、「津液」(体の潤い・体液)だけでなく、「気」も消耗してしまいます。
夏にだるくてドッと疲れた感じがするのは、この「気陰両虚」が原因と考えられます。
脾胃に「気」を補いながら、「津液」も補える処方として、代表的な方剤が生脈散です。
人参・麦門冬・五味子という3つの生薬からなる、シンプルな処方です。
【飲む点滴】なんて呼ばれるくらい、効き目もシャープで頓服していただくこともできます。
夏に頼りになる処方の一つです。
他にも、熱中症・夏バテのその人それぞれの症状に合った漢方薬はあります。
ご自身の判断ではなく、漢方に詳しい専門家にご相談いただき処方を選んでもらいましょう。
繰り返しにはなりますが、熱中症・夏バテにならない基本は、胃腸が元気であることです。
そして血液に、より潤いを与えること。
さらに言えば、食事をよく噛むこと・良い睡眠(これも体を冷やしすぎないように注意!)・適度な運動・リラックスすることも基本として大切です。
養生しながら、楽しく夏を乗り切りましょう。